2011年8月19日金曜日

駿河国富士郡大宮の由来

富士宮市の由来については「富士宮市という市名の由来」にて取り上げましたが、今回はその中心地であった「大宮町」の「大宮」の由来について取り上げようと思います。

「大宮」の初見などは確認していませんが、例えば『富木殿御書』(文永11年(1274))の記録に

十二日さかわ十三日たけのした十四日くるまかへし十五日ををみや十六日なんぶ…

とある。日蓮が身延入りした日程を記しているが、「大宮-南部-身延」という流れから、ここでいう「ををみや」が駿河国大宮を指しているのは間違いないだろう。「大宮」という言葉を聞いたときに、なんとなく「大きい宮?」となりそうだが、実はそのような解釈で正しい。

まず「宮」というのは「神社」を表わしています。古い書などをみると「きふねの宮」や「宇佐の宮」などを度々目にしますが、つまりは貴船神社であり、宇佐神社を示しているのです。現在の浅間大社の社号は昔は「富士の宮」(平安時代に既にみられる)とも呼ばれていました。それが現在の「富士宮市」の由来という話でしたね。

そしてここで本から一部抜粋したいと思います。「日本史小百科 神社」によると
その境内(浅間大社)が広大であったからその地を大宮と呼ぶようになった
とあります。これが正しいとすると、大宮はやはり神社から由来する地名であると言えるでしょう。意味的には「大きい神社がある=大宮」という感じですね。「大きい」というのは境内という意味もありますが「位」という意味も考慮する必要があるかなと個人的には思います。
官幣大社昇格祭文
『日本三代実録』に「富士郡の正三位浅間大神の大山」(噴火の報告の中で)とあります。貞観1年(859年)に正三位の位階を与えられているそれ(正三位の神社ということ)が「大きい」という由来かもしれません。どちらにせよ神社から来ているということには変わりはないと思います。そして現在の市名も神社から由来するので、はやり富士宮市というところはどうあっても「浅間大社一筋」なのでしょうね。

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