2022年9月20日火曜日

博物館構想説明会の質疑応答富士根南・南部・大富士編、富士博物館誕生に期待

 「博物館構想説明会の質疑応答に対する意見、上野会館・富士根北公民館・きらら編」の続編になります。 


  • はじめに

富士宮市の博物館には「コンセプト」が必要です


きらら

博物館で働いていた方から"人を引き付ける売り、『どういう博物館なんだ』 というこの博物館ならではの個性が必要になってくると思います"という意見がありました。全く、その通りだと思います。

全体的にですが、担当者は「子供たち」にフォーカスした回答が多いものの、私は人気のないユーチューバーがいきなりオフ会をやるようなものだと思います。需要があると錯覚し「人が来るだろう」と意気込むも、人は「来ない」。最悪、ずっと座っていることになる。そんな状況が容易に想像させられる。

学芸員その他専門の方々は、一種の「生存バイアス」に引っかかっているのです。回りは似たような過程を経てきた人で固められ、まるでその他多くの人も"アプローチ次第では歴史に関心を持つだろう"という幻想を抱いている。常に最善で事が進むという前提のもと、幻想はミルフィーユのように重なり、子供たちが大人になった様子をも幻想として抱く。悲しいかな、清々しいほどそうはならない。

ところで、質疑応答でこのような質問があった。


富士根南

この質問者は「富士金山」を知っているという時点で、知識を有する方と言って相違ないでしょう。富士宮市のセールスポイントは、実はこの辺りにしかないと考えている。というのも、


富士宮市の博物館のコンセプトは「富士」であり、名称は「富士博物館」を視野に入れても良い


と考えられるのです。極めて当たり前のことですが、富士宮市が「豊臣秀吉」や「織田信長」がテーマの博物館を作っても仕方がない。「富士宮市立郷土史博物館の地域説明会における質疑応答に対する意見」で「地域密着がテーマでない方がよい」という意見がありましたが、とてもではないが支持できる意見ではない。むしろ普通に富士宮市の"基本的歴史材料"を題材にすれば良いだろうし、富士宮市の"歴史的人物"や"歴史的事象"を取り上げれば良いのです。

質問者に敬意を表して富士金山から紹介していきますが、「富士」というコンセプトを基とする「歴史的人物」「歴史的事象」「歴史的材料」は、以下のようなものだと思うのです。


  1. 富士金山(「麓金山」と呼び習わされることも)
  2. 富士氏
  3. 富士城(大宮城の別名)
  4. 富士野(曽我兄弟の仇討ち舞台の地)
  5. 富士海苔(芝川海苔とも)
  6. 富士川
  7. 富士山

そして「7」の富士山は、「静岡県富士山世界遺産センター」に主な役割を担ってもらえればい良いと思います。或いは「千居遺跡」のストーンサークルを富士山信仰の一端と解釈し、展示に含める形が良いかと思う

富士宮市は"基本的歴史材料"の処理が未だ出来ていません。例えば「富士川」も何故かフォーカスしません。そういうルールでもあるのかというくらい、富士川と富士宮市との接点を描こうとしません。理由を教えて頂きたいくらいです。ちなみにお隣の富士市は、富士川がテーマの企画展を複数回行っています。それぞれとても良いものでした。

もちろん「富士氏」も圧倒的に足りない。富士宮市の地で起こった"歴史的事象"で全国的に有名なものは、普通に考えれば「楽市令」でしょう。しかし長らく、富士宮市の歴史年表には無かったりしました。全国で用いられる高校の参考書に載っているのに富士宮市の歴史年表には載っていない…そんなバカバカしいことが本当に起こる自治体なんです、富士宮市は。これは富士宮市・富士宮市教育委員会『年表・図説でみる富士宮の歴史と伝説』辺りで確認できるようになりました。これを確認したとき、"や、やっとだ…"と思いました。「法制史」でも頻繁に取り上げられる部分です。

あと、博物館は大衆的な面があっても良いと思います。「キッカケ」を与えられることが重要なのですから。今人々はどういうものを求めているのか、そういう部分をしっかり考えなければなりません。来るのは「一般の人」なのです。特に「刀剣」は人気です。富士宮市の国指定文化財は、刀剣類に恵まれています。







「大石寺」のものは展示できないでしょうが、他はやりようはある。また大宮城跡からの出土物も織り交ぜて紹介できるだろう。そこから広がることの方が多いと思います。回答者が想定するやり方は、子供に「通常」の信号の渡り方を教える前に「時差式」から教えるようなものです。

また以下のような不思議な質問もありました。


南部

他市のために富士宮市の多額の資金を提供するのは、「富士宮市立郷土史博物館の地域説明会における質疑応答に対する意見」にあるような「新富士駅」の例などで十分です。理解できません、その考え方が。これでは富士宮市は完全な「タカられ屋」になってしまう。

しかしこの質問者が極めて不器用であったと仮定すると、静岡市も富士市も「駿河国」であるので、おそらくその辺りに意図があるようにも思われる。そこから私なりに換言すると


「駿河国」全体で考え、富士宮市とその他の地域との結びつきを考えよう


ということになる。そして富士宮市も富士市も「富士郡」であったため、更に換言すれば


駿河国、ひいては富士郡における富士宮市の位置づけ


について考えて欲しいということを言いたかったと捉えられなくもない。であれば、富士氏という国衆の在地とそれ以外での活動を考えれば良いし、富士城が富士郡の拠点であったことを分かりやすく説明すればいいし、富士海苔が今川文化の一端を担い上流階級でも重宝されたことを丁寧に説明すればいいし、富士川も「富士山木引」等を例に「富士山木引→上井出→青木→沼久保→川下し→吉原」という繋がりを史料と共に説明すればよいのである。

ちなみに私は、富士宮市の展示や刊行物で上のようなことに言及したケースを見たことがない。そもそもやっていないので、博物館以前の問題なのである。数十年分の刊行物を俯瞰して見ても、無いのである。

富士宮市といえば、「展開・アピールが下手」と内外から指摘されている。大河ドラマ『風林火山』の際も富士宮市が動かず大きな問題となったことは記憶に新しい。この時は普段歴史に触れる機会のない方々ですら声を上げていたくらいですからね。富士宮市は多くの市民から既に失望を食らっているのである。それを自覚された方が良い

他に例えば平成26年(2014)に各団体の協賛で「浅間大社に祈願した「戦国武将」展」というものが催されました。私も行きましたが、「晴れ、ときどきお城  -natchdes(なっち)の城攻め備忘録-」さんの記事に「思い切って富士宮詣で」という記事があり、紹介されています。

ここに「後北条氏の発給文書何で見せないの?」というような旨のことが書かれています。正直私も、完全に同じことを思いました。多くの人は、富士氏という国衆と大名との関係に関心があるのです。これは保存の関係もあってのことかもしれませんが、博物館ではもう少し「見える化」が求められます。また鎧も後ろに回って見れず、見せたいのか見せたくないのかよく分かりませんでした。最高の材料を以て最低の展示会に仕立て上げる必要性はあまりありません。今回の博物館もその例に漏れず、では困ります。

「富士」をコンセプトとした「富士博物館」の誕生であれば、私は博物館構想を支持します。正直なことを言えば、博物館が完成したとて実際に行くのかどうかすら分からない。私の中ではそれくらいの位置づけなのです、この博物館構想というのは。別に新しい知見を提供してくれるようにも思われないし、何のワクワク感もない。むしろ説明を聞けば聞くほど失望が大きくなる。それは、こちらの責任ではない。

では、以下から意見になります。

【南部公民館】


南部


当たり前ですけど入館料は「収入」です。「もとを取る/取らない」じゃなくて、収入になるのだから、そこに対してしゃかりきにならないといけない。こんなことを外の人間が言わなければならないというのが絶望的。意識の低さが見て取れる。

追記:

岡崎市美術博物館の企画担当の方が、Twitterでグッズに関する問いかけを行っていました。なんとたった7時間でこの反響です。



でも「入館料が収入として見込めない」といった考えの人が中に居たら、絶対にグッズを収入源としては考えないでしょう。もちろん具体的な検討もしないでしょう。もう意識が全然違うんですよね。

追記終わり。

南部


自然破壊につながるとは思わないし、逆に子供に「何で博物館が無いのか」と問われたらどう答えるのか教えて欲しい。それはそれで、子供に噛みつくんでしょうか。


【大富士交流センター】


大富士


本当に甘いです。「博物館は要らないんじゃないか」と人に思わせる能力に長けているとすら思う。


大富士


「大富士交流センター」についてはどう捉えていますか?私からすれば、同じ性質のものです。大富士交流センター自体も、議題が市議会に上がってから私も知る所となったと思うし、それが問題とも思わない。


大富士


全世帯にアンケート…コストを考えると馬鹿馬鹿しいです。これまでも、多くてもサンプル数は数千です。私は富士宮市が行った/対象となった調査のサンプル数について過去調べたことがありますが、管見の限りでは「富士山ネットワーク会議」のものが最多でした(環富士山の自治体全体に及んだもの)。

その結果も公表されていますが、富士宮市民の回答だけ浮いていました。本当に恥ずかしい限りです。身内が親戚の集まりで変なことを言っている…そんな感じです。「新富士宮市史編纂事業の意義と古史料の提供呼びかけ」にて"ここでは伏せておこうと思います"としたのが、そのアンケートです。博物館構想には関係ありませんが、そもそも変なことをいいやすい気質はあるということで参考として挙げておこうと思います。


大富士


「富士博物館」とか「富士〇〇」というものが良いと思います。仮に名称を募集するときも"「富士」を冠する"という条件にしても良いくらいだと思います。

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