2026年7月15日水曜日

富士市の事例から都会と田舎のスケール感の違いを考える

本稿では都会/田舎論争について考えてみたい。とはいっても、真正面から取り扱うものではない。まず「都会」と「田舎」という定義そのものが難しいのであるが、単純に「東京」から見れば静岡県の各地域はすべて田舎に該当すると言えるかもしれない。

しかしこんな感覚的な話ではなく、あえて定量的なもので言えば、1つの指標を挙げることが出来る。それは交通分担率のうち「公共交通分担率」である。やはり"公共交通機関の充実さ"が都会と田舎の大きな相違点だろう。


富士市特例市平均最大値
9.56%30.13%64.55%(宝塚市)

これは2013年のデータである(富士市2013;p.15)。この数値が10を下回る地域は、少なくとも「都会」からは大きく離れた所にあると見るべきだろう。

そして地域の事象から、都会と田舎のスケール感の違いを感じることができる。ここでは富士市長のインタビューを引用する形で考えていきたい。


この記事は、富士地区で最も手広く展開している新聞社である「岳南朝日新聞」による富士市長に対するインタビュー記事である。しかも新年一発目の目玉記事であり、市長からすれば自らの成果を示す重要な機会となるものである。従って、必然的に成果を全面に打ち出した内容となってくる。では富士市長は何を前年の成果として挙げただろうか?

  1. 中核市移行検討
  2. 新素材CNFの関連産業推進構想策定
  3. タリーズコーヒー誘致
  4. 新富士駅ステーションプラザFUJIへのアスティ新富士の整備

ここで3番目として「タリーズコーヒー誘致」が挙げられている。東京の人からすれば信じられないかもしれないが、これが地方のスケール感である。テーマパークでもなく、大型商業施設でもなく、コーヒーチェーン店なのだ。地方からすれば、市内未出店のコーヒーチェーン店の進出でも、十分に象徴的事象になり得るのである。

  • 田舎者とは何だろうか

高層ビルやタワマンがあるのか無いのかといった、物理的な「モノ」の有無で「都会」とか「田舎」を分けることは簡単だろう。

しかしそれは人間に焦点が当たっていない物差しである。人間に焦点を当てた時、以下のように言えるのではないだろうか。

プロトコールを認知/行使できるのか否か

世の中には「プロトコールの(五大)原則」というものがある。私はこの部分に配慮できるか否かで、田舎的かどうかを決めるべきであると考える。つまり、タワマンに住んでいようが、プロトコールが出来ていなければ田舎的と言えるのだ。

以前「静岡県富士宮市の市制施行80周年記念、富士郡大宮町時代から振り返る」にてクレジット(表記)の違和感について触れたことがある。富士地区はこの辺りの儀礼が特に出来ていないように感じる。これらは食事マナーに類するものなのだ。

  • おわりに
現在、富士市の市制施行60周年を記念し、シリーズとして記事の投稿を進めている。30記事くらいを予定しているため、是非ご覧いただきたく思う。

13:「富士市の事例から都会と田舎のスケール感の違いを考える」

  • 参考文献
  1. 富士市総務部企画課(2013)『富士市都市活力再生ビジョン』

2026年7月10日金曜日

富士市は本当に落ち目なのか、裏ワザから見る富士市の姿とコストコ進出のデマ

富士市民の方々の話を聞くと「富士市は落ち目だ、もう駄目だ」という話が多く聞かれる。この部分について考えていくというのが、本稿の指向である。

確かに、富士市の人口は減り続けている。それを一番初めに指摘したのはおそらく私であり、「フジブログ」さんの「富士市の人口は減少に転じた!」においても紹介されている。当時、そのようなことを述べている人間は居なかった。ここで「秘密基地なブログ」とあるのが、私が以前運営していたメインブログである。

私は新年度の4月を基準として年単位で追って証明したが(4月1日現在で比較するのが慣例)、フジブログさんは「各前年同月比」を示す形で詳細に示し、また地区別でも追っている。10点満点の内容である。ちなみに当時の富士市職員が作成したスライド・資料には「増加している」とあり、市の現状が全く把握できていないことが垣間見えた。10点中大体3.5点くらいの資料が多い。

ちなみにこの次の年くらいから富士宮市も減少に転じている。実は富士市の方が減少に転じたのは早いのだ。そして富士市には映画館が無い。大きな商業施設も無い。大学も消えた。でもコメリはある。しかしそれを以って他の自治体と比較した際、相対的に富士市が衰退しているとは言えないのではないだろうか。

というのも、富士市の各指標を他の自治体のものと比較した際、特筆すべき下落はないと思われるからである。世の中には様々な指標が存在している。それらに通じている人ならば、工業であれば「製造品出荷額等」、商業であれば年間商品販売額等」が代表的指標であることは既知のことだろう。

そういう指標を並べて比較してもよいのであるが、それではつまらない。実はもう少し面白い方法があるので、ご紹介したいと思う。


  • 建築物環境配慮計画書から考える

静岡県は平成19年に「静岡県建築物環境配慮制度」を施行した。この制度は、一定規模以上の建築物(工場や商業施設など全部)を建築する場合、面積や環境負荷などを示した「建築物環境配慮計画書」の提出を義務付けたものである。そしてこれは一般に公表され、審査される。


富士市HP


簡単に言えば、大きな建物を建てる場合、届け出が必要なのである。ということは、その地に需要があれば、計画書がどんどん提出されるはずなのである。これを確認するという方法が「裏ワザ」である。ちなみに、商業施設の規模なども早期に公表されているので、ここを確認すれば誰よりも早く商業施設面積等の規模が把握できるといった裏ワザでもある。重ねて言えば、コストコ進出がデマであることも、ここを見れば一目瞭然であった。

そしてそれらを見るに、富士市はそれなりに需要があると判断するのが普通である。ここでは富士市と富士宮市を比較してみよう。


富士宮市HP



…と思ったが、富士宮市が全く仕事をしておらず、もはや「令和7年度届出分」の項目すらない(皆無とは考え難い)。富士市は「令和8年度届出分」すら存在するというのに。また富士宮市の「令和6年度届出分」は以前は見ることができたが、今は「Not Found」である。これでは届出の有無すらよく分からないし、内容も分からず、比較も難しい。本当に呆れるばかりである。

比較は諦めるとするが、富士市の例で考えた時、同じような規模で企業進出・新築が見られる自治体の方が少ないのではないだろうか。もっと言えば、計画書の提出が義務付けられる程の建築物は、ここ5年新規で無いという地域も全国ザラにあるのではないだろうか。

例えば近年も富士市には工場が多く建設されているし、富士宮市も「アクロスプラザ富士宮」が新規開業するなどした。こういうようなものが、もう10年くらい無いなんて地域の方が多いはずである。だから相対的にみて、衰退しているとは言えないはずである。もはや富士市は、相対的に見れば元気といっても過言ではない。むしろ危惧すべきは、文化レベルの方である。

  • 人口減少のペース

富士市の人口減少を問題視する先鞭となった私が言うのも何であるが、そのペース自体は思ったより緩やかと言えるのではないだろうか。


富士市HPより


私は今年くらいの段階では人口は24万人を切っていると考えていたし、もっと下回っていてもおかしくないと考えていた。おそらく転入も一定数有しているため、ここまでに留まっていると考えられる。

ちなみに、世帯数の増加より、人口が増加していることの方がよっぽど重要である。詳細な分析は、他にお願いしたい。


  • おわりに

本投稿の本質に直接関係はないが、富士宮市の姿勢がよくわからない。もう令和7年は終わった。なのに項目が無い。仮に新規に無かったとしても、項目は設けるべきだろう(皆無ということは考えづらい)。富士市は令和8年度の項目すらあるというのに。こういうところなのだ、としか言いようがない。

結論、落ち目は皆同じで、特段富士市が目立つというようなものでは無いということなのである。ちなみに富士市も富士宮市も、明らかに「年間商品販売額等」が弱い。簡単に言えば、消費が少ないのである。これが富士地区の弱点であったりもする。もし富士市に嘆くのであれば、消費をいっぱいして、「年間商品販売額等」に貢献するというやり方もあるのだ。

現在、富士市の市制施行60周年を記念し、シリーズとして記事の投稿を進めている。20記事くらいを予定しているため、是非ご覧いただきたく思う。

12:「富士市は本当に落ち目なのか、裏ワザから見る富士市の姿とコストコ進出のデマ」